「音が良い」とはどんな事か?

 音の良し悪しは個々人の好みになる。

例えば

「このスピーカは音が良い」

と誰かが思ったとしても、万人がそう思うとは限らない。

この違いは経験にあるように思う。

例えば、一般的に明らかに音が悪いと言われそうな、音が割れてしまうスピーカーの音だって、その音に何かシラノ魅力を感じる事もある。

そんな経験はないだろうか?

それは悪い音なのかと言ったらそうとも言えない。

もちろん、新しく購入したスピーカーが壊れていたら私だって返品する。

だけど、昔、私が子供の頃壊れたスピーカーを愛用していた場合はどうなるだろう?

きっとその音に何かを感じるはずだ。

そしてクリアーな普段の音と違ってなんだか良いな、って思うだろう。

(割となんでも良いんだよな、個人的には、それなりに楽しむから)

それとも、あなたは自分の耳や心の声じゃなく、数値化されたスペックで音を良し悪しを測る?それは音じゃなくて視覚化されたイメージなんだけどね。

テレビの格付けみたいにブラインドテストしたらそれがどれだけあてにならないか、実感するものだよ。

 

あとはアナログとデジタルの違い、デジタルであればデータ量による違い。

これも人それぞれ。

アナログが良い、レコードが良いと言う人もいればデジタルが良いと言う人もいる。

確かにアナログレコードは暖かみのある音がする様に思うけれど、車で聴くのは不可能。

じゃあテープという選択肢はあるかと言えば、昨今のカーオーディオではほとんど無いに等しい。これは単に音の良し悪しだけの問題では無いけれど、車の中で音楽を聴きたい場合、音が悪いと思って聴くのもどうかな、と思う。良いと思って聴く方が気持ちが良いだろう。それくらい適当なほうが人生は楽しいと思うのだが。

またデジタルは単に情報量が多ければ良いと言うわけでも無い様だ。

情報量が多すぎて耳が疲れると言った意見を聞いた事がある。

疲れる程の情報量は良いとは言えないだろう。疲れたいがために音楽を聴く人はおそらくいないと思う。

ここで一つ一つ具体例を挙げるまでもなく、音に限らず、多くの人は楽しいとか気持ち良いといったような感情を喚起させるものや事柄を良い事としているという事実を考えると「良い音」とは一つには、プラスのイメージに繋がる記憶を呼び起こす音だろう。

もう一つ別の良いといわれる基準があるように思う。

それはいわゆる権威の力による良さ。

思い込みと言うやつだね。

先にあげた数値化から得たイメージに近い。

プラシーボ効果のような、効き目があると言われるとビタミン剤が薬を投与した時のような結果をもたらすように。

誰か偉いとされている人が良いと言ったから、という理由によるものだ。

私たちは、権威の言葉で暗示にかかる。

だから企業は広告に有名人を使うわけだ。

あの人が言うのだから間違いない、と違うメーカーの異なる音のスピーカーを様々な有名人が良いと言う。

じゃあ一体何が良いのかは、それぞれの主張がある。材質、形、周波数特性、云々。しかし、音が良いと宣伝文句に書かれたスピーカーを買って実際に聞いてこんなもんかとガッカリした経験は多くの人があるだろう。

そう、そんなものだよ、そう思った方には。それが現実。


 

マスタリングスタジオなどでは数種類のスピーカーが用意してある。

いわゆるモニタースピーカーと言われるものが数種類と民生用のラジカセなど。

理由はお察しの通り。

最終的には一般的な家庭のスピーカーで聴いた時にちゃんと音が聞こえる様に調整するためだ。

プロのエンジニアが使う高価なモニターなんて普通の家庭にはないからね。

高価なモニターで良く聞こえてもラジカセでショボかったら、リスナーの大半を占める民生機愛用者にショボいという評価を頂くことになる。

だからプロのモニターでショボくても民生機でバランスが良い方がまだマシなわけだ。

両方良いというのが一番良いだろうけれど、良いというのはどこに基準を持たすかと言えば最終的にはプロデューサーやアーティストの判断になる。

たいていの場合は。

そんなだから、他人の言う良い音、なんて評価は、権威の力に流されずに自分の耳で判断する人にとっては全く当てにならない評価だ。

まあ、どれも良いって事だね。

私の見解としては、自分の耳を信じて自分が気持ち良いと思うのならそれが正しい意見とするべきだろう。

じゃないとメーカーの思うがままに操られてスピーカーを購入する事になる。

これはギターでも同じだろう。

他人の評価はあくまで他人の評価でしか無い。

まあ、他人の評価によって収入が決まるのであればそれはそれとして。

そんなわけであなたにとっての良い音がどんなものかは私には分からない。

自分の耳と感性を信じて答えを出して欲しいと思う。

自分の感性を信じない限りどれだけ難しく考えても分からないので。

私は音に関するサービスを提供する側として自分が思う良い音を自身の耳と感性を信じて今実現できる範囲で提供している。

なので、スタジオに関して言えば、興味がある方は是非、一度試してみて欲しいと思う。

気に入ってもらえれば嬉しいし、そうでなければ残念だが他を探して頂きたい。

いろんな場所で様々な音を聞いて違いを経験してみるのも楽しいのでは?

今日は良い音とはどんなものかについて書いてみた。ものと言っても音は物体では無いので悪しからず。(ここでは、書いた事=もの、名刺と代名詞という関係。私には音が物質だという論理的な証明は出来ない。)

それでは。

「日々、音楽」タダヒロでした。